話は前後しますが、京都三尾の紅葉見物のおりに、蕎麦の本家尾張屋を訪ねてきました。初めて行ったのですが、いかにも老舗といった店構えです。創業は545年前の室町時代。あと2年で応仁の乱が勃発する1465年(寛正6)です。「御用蕎麦司」と店頭の暖簾に染め抜いているのは、江戸時代後半に御所への出入りを許されたから。今で言う宮内庁御用達ですね。店内に入ると正面に蕎麦菓子のショーケースが。店内左手の暖簾を抜けて席につきます。
さっそく天盛りを頼みました。お菓子も食べようと思ったら、蕎麦饅頭と蕎麦板がおまけについてくるとのこと。やったあーです。かわりにわらびもちを発注です。蕎麦饅頭(尾張屋では「そば餅」と呼びます)は嫌みのない美味しいまんじゅうです。いくらでも食べられます。蕎麦板は蕎麦粉を小さな短冊型にカチッと焼いたもの。香ばしさが弾みます。わらびもちは蕎麦粉をまぶしてありますが、粉粉してなくて美味しく食べられます。
さて、肝心の蕎麦はいけません。一目見てがっかりです。見映えがよくありません。いかにもまずそうです。機械打ちだし、口当たりも歯ごたえも悪く、まったく香りません。北海道産新蕎麦入荷をうたっていますが、入ったけど使ってないんじゃないのと言いたくなります。つゆもいけません。醤油くさいのです。天麩羅もさえません。東京でいえば、そのへんに転がっている蕎麦屋のレベルです。
で、思ったのは、蕎麦は止めて蕎麦菓子屋になればいいということ。蕎麦饅頭や蕎麦板、わらびもちで十分やっていけます。聞くところによれば、もともとは菓子屋だったとのこと。江戸時代に蕎麦屋になったのだそうです。なるほどねえ、と合点がいったしだいなのです。
昔ながらの店構えなのでしょう。この店のほぼ背中合わせの表通り(烏丸通)に、製品を販売する新店があります。
暖簾は短めですが、悪くないですね。右に大きめに、「新蕎麦入荷」とあります。
座ったすぐの左手にある、いかにも古そうな床の間。タル型歪曲です。しょうがないです。
サービスの蕎麦饅頭と蕎麦板。写真のピントが合ってません。かんにん!
見かけからして美味しくなさそうです。いけずされたのかなあ?とつい勘ぐってしまいそうにさえなります。
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